エッセイ

不動産の仕事を辞めました

今宵31歳。また仕事辞めてしまった。

去年同じく僕は永遠と同じことを繰り返している。

ただ今回違うのは業種だ。

初めての営業職であった。

その中でも激務と言われる賃貸不動産仲介

噂で聞いていた通りたしかに激務だった。

週休2日だが大型連休は正月だけ

顧客と管理会社に全てを合わせる

一般的な祝日、大型連休は賃貸不動産業にとって一番の稼ぎ時だ。

もちろんこの期間は休むことはできない。

厳密にいうと「休むこと」はできる。

社長からもいつ休んでもいいと言われるし、強制はされない。

しかし、こういった世間の祝日に出勤しなければ大きく稼ぐことはできない。

おのずと土日は出勤することになる。

平日、主に火曜日水曜日に休みを取ることが多かった。

ただこの休み。休みではあるが休みではない。

どういうことかというと休みでも管理会社と顧客両方と連絡を取り続けなくてはならないのだ。

 

ここで一番ややこしいのが管理会社の休みだ。

もちろん会社によって休日はバラバラであるから審査の進捗や審査に必要な書類を提出するのも管理会社が営業している時間内になる。

土日休みの管理会社と平日休みの管理会社の案件を同時に行っている時なんか最悪だった。

休みの間もずっと携帯を手放せない。

メール1つ送るのにも社内のラインに1件1件メール文をはり、

その日出勤している人間に送信をお願いするという謎のシステムだった。

 

不動産はめちゃくちゃアナログな世界

とにかく悪い意味で楽をしようとしない。なんでも人力で行う。

いちいち紙のメモを使い、情報共有も口頭で行う。

言った言わない問題は多発し、経営者はそれも変えようとしない。

社歴に関わらず社内全体でタスクの抜けも多かった。

そんな時は忘れていた人間が責められるが、果たしてそいつが全て悪いのだろうか。

僕はそう思わない。

絶対に忘れない仕組みをつくればいいだけだ。

本日行うタスクをどこかのソフトに記載し、共有していればそんなしょうもないミスが起きる確率なんかぐっと減るだろう。

謎に暗記能力を求める会社だった。

この状況に何も疑問を覚えない経営者、従業員には絶対に共感できないと思った。

新人というのもあり、あらかた先輩には情報を共有していた。

その際メモ帳に書いて渡す、もしくは口頭で説明という手段しか許されなかった。

ここがかなりストレスポイントにもなった。

最初のころはそれでいい。

しかし案件が増えてくれば全てがおろそかになる。

スプレッドシートに顧客と管理の情報、今の状況を記載して社内で共有すればこんなイチイチ休みの日に報告する必要なんてないが、

勤務していた会社ではそういった顧客管理ソフトのようなものは使わないし、社内にはカレンダー警察の輩がいてちょっとした情報を記載していればそいつから文句を言われる始末だった。

 

とにかく何でも電話

無駄に電話をする。

とにかくなんでも顧客、管理会社全てにおいて…

顧客に関しては電話の好きな人も意外と多く意味を感じるが、管理会社に至ってはメリットなど皆無に等しい。

ただ上司には電話をした方が早いから電話をしろと言われ、電話に出た管理会社の人間にはチャットで入れてくださいちと言われる始末。

もう訳が分からない。

勤務していた物件の管理も行っていたので他社からもどんどん確認の電話がくる。

図面に記載があることをイチイチ電話できいてくる人間も多い。

そんな時は「図面に記載がありますのでそちらで確認お願いします」と返すが、

この無駄なやりとりはなんなのだろうか。

なんとかならないのか。

顧客から電話で問い合わせが来ることが多いので電話を全てなくせとは言わないが、自動音声で振り分ける。別でテレアポを外注。アルバイトを雇う。

いくらでもやり方があるはずだ。

 

鬼の紙文化

不動産は本当に紙文化だ。

こんなにもデジタルな時代に紙を使っている業種があるだろうか。

物件の図面は管理会社などが各々好きなデザインで作成している。

デザインの勉強などもちろん全くしたことがない人間が適当につくっているので、基本的にはものすごくわかりにくい。

個性や癖がすごく、金が絡む部分に関しては特にわかりにくく記載している。

印刷前提で作成されているのでネットでみるのは限界がありどうしても印刷しないとわかりにくい。

あほほど紙を印刷する。

国でフォーマットを決めてそこを埋めていく形にすればネットでサクッとみれる形になるのに…

 

あとはFAXだ。

やたらと使う。

「FAXでお願いします」と何度いわれたことか。

しかもFAXしてからさらにそのFAXが届いているか確認するために電話もするのだ。

果てしない。ありえない。

 

最初に関しては雑務したほうが得

僕が入社した時同期は僕を入れて3人だった。

新人の仕事は主に雑務だ。

電話番をしたり、車を手配したり、お茶をだしたり。

入社したばかりの僕のようなペーペーの人間が基本的にはこのような売り上げにはつながらない雑務をこなす。

そして雑務をこなしながら物件の打ち込みを行う。

最初のころは打ち込みのスピードも遅いので先輩にどんどんいい物件を打たれてしまう。

残ったのはお世辞にもあまりいい物件とは言えないものになる。

そうなればなかなかアポがとれない。

だが、雑務をこなしていると先輩と接する機会も増えて炙れたアポをもらえたり、内見だけお願いされて制約すれば売り上げを半分もらえたりした。

そういった意味でも雑務を行う価値はある。

が、しかし

それはあくまでも入社1か月までの話だ。

その後は極力やらないほうがいい。

日々仕事行なっていれば物件の打ち込みのスピードもあがるし、知識もある程度ついてくる。

アポも自然と増えるのでいかに接客に向けて準備をするのかか肝心だ。

そんな時に僕はまだ新人だから…といって電話なんかガンガンとっていれば何もできなくなる。

僕はこの負のループにハマった。

雑務を積極的にこなしていた僕は電話を取る人、お茶を出す人、車を回す人になっていたからだ。

負担は天と地ほど違う。

特に電話なんて訳の分からない日本語もできない外国人を1日に何度も相手にする。

日本人でも会話のキャッチボールができない奴も多いし、腹の立つ奴もおおい。

ストレスもたまっていく。

他の同期は全然電話を取らなかった。

うまいこと立ち回る人人間が得をするなあと改めて感じた。

でもこんなことも自動化すれば起こりえないことだ。

どれだけ電話をとらないかのゲームになっていた。

 

不動産はストレスがやばすぎる。コントロールできる範囲が少ない

とにかくこちらでコントロールできることが少なすぎる。

休みも時間も管理会社に左右され、仕事を勧めるのが遅い管理会社の担当者には葉っぱをかける。

なぜ社外の人間が上司みたいなことをしなければいけないのか。

そもそも言葉を喋れない人間も多いし、社内でのストレスも多い。無駄、無駄、無駄の応酬だ。

一生やりたくない仕事だ。

でも営業は楽しかった。

お客さんと喋るのはむしろ癒しになった。

もちろん嫌な客もいるがその他のストレスに比べれればマシだ。

働いたことでこの職種の人間に敬意を抱くとこになった。

まあ仲介手数料の闇はあるけど…

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