エッセイ

リモートワークの掛け持ちに挑戦。

この1か月試してみたことがあります。

それはリモートワークの掛け持ち。

ある記事を読んだことがこの挑戦をするきっかけになったのです。

「米国のテック業界で、複数の仕事をフルタイムで“かけもち”する動きが広がっている」

https://wired.jp/article/remote-tech-workers-secret-multiple-jobs/

記事によれば、彼は同じ勤務時間内に2つの仕事を掛け持ちをしているようなのです。

私はなるほどと思い、是非自分もやってみたいと思いました。

 

マルチタスクボーイに進化するチャンスです。

シリコンバレーの彼とはレベルの差や、1つ1つの仕事の収入の格差はあるものの、

今のしょぼい給料の仕事でも他の仕事とかけ合わせればそこそこの収入になると思い挑戦を決意したのです。

 

これを実行するにあたり疑問点がありました。

社会保険が仮にかぶってしまった際にどうなるのか?ということです。

「正社員 掛け持ち」 「社会保険 ダブル」など

自分なりに色々と調べてみましたが、なかなか情報がない。

 

そんなことをしている人間がそもそもいないのか、それとも実行している人間はいるが、敢えて情報発信するメリットもないからなのか。

いずれにせよ無理がありそうだと思い、「在宅」で「業務委託」という形の求人を探してみました。

 

すると「ウェブサイトの簡単な更新作業」というものをみつけました。

私のクソスキルにピッタリのお仕事でした。

時給換算すると約1,400円。悪くありません。

コーディングテストなるものを受けて、無事採用となったのです。

 

インドを思わせるツールの渋滞、地獄のブラウザ乱立

 

掛け持ち初日、新しい2社目の業務に入る前に、レクリエーションという名の研修がありました。

午前中に社内の人間と顔合わせのあいさつをした後、使用ツール、会社のルールなど一通り説明を受けました。

 

「チャットワーク」、「セールスフォース」、「LINEワークス」、そして社内共有の「Gmail」は業務上において必須のツールということでした。

サイトの更新業務だけのみなのに関わらず、4つも常に開いておかなければならない状況は、非常にめんどくさいと感じました。

 

業務内容的には1個で十分ですし、まとめろと思いました。しかもLINEワークスは1社目の会社でも使用しているのでダブってしまいます。

 

しかし、1社目のLINEワークスは利用頻度があまり高くないので、

「1社目のLINEワークスをブラウザで使用し」、「2社目をアプリで使用する」ことにしたのです。

そこに1社目で使用するチャット2個とセールスフォースとメールソフト。

チャット3個、セールスフォース2個、LINEワークス2個、メール2個。

計、最低でも9個のツール。

 

これに加え、FTPソフトとエディタ、ワードプレスなどの管理画面も加えると恐ろしいことになったのです。

画像加工なんかも加わると、illustratorやPhotoshopも立ち上げなければならない。

ディスプレイは2枚しかない。もうパンパンです。

訳が分かりませんでした。

 

そしてこんな地獄のような環境で、午後からさっそく業務開始と思いきや特にスケジュール的なものはなく、

上長にこれからの流れを確認するも、少し待ってくれと言われ、

結局その日は全くやることがありませんでした。

助かりました。

 

おそらく自分に課するものを考えていなかったのだと思います。

 

もちろんその間もそれと並行して1つ目の仕事もちょくちょく行っていましたが、

そちらも特に何の問題なく、無事に掛け持ちテレワーク1日目が終わりました。

 

徐々に溜まっていくタスク。

 

この日はいきなり業務を割り当てられました。

「チャットツール」、「LINEワークス」、「Gmail」。

全てのツールから更新依頼が舞い込んできて、内容は様々でした。

簡易な更新と言われていましたが、実際には結構なボリュームがあり、1件完了させるのにもかなりの時間がかかってしまいました。

しかも、営業の人間から依頼が来ることが多く、情報を咀嚼するのにすごく時間がかかる。

 

依頼内容を確認しても意味不明な内容なものは、いちいちLINEワークスを通して営業の方に直接確認しなければならないのです。

この制度は私を余計に追い込みました。

 

結局2日目は5件で終了。

しかし依頼はドシドシくるので、案件リストが10件も溜まってしまいました。

しかも納期がかなり短く明日には全てかたずけなければなりませんが、まあなんとかなるでしょう。

 

3日目 -ついに仕事が舞い込む。-

 

少しづつ、2社目の業務に慣れてきました。

いかにして両立していくか、色々試行錯誤しましたが、どう考えても効率化できる部分が少なすぎました。

追い込まれれば、時間の暴力で案件をこなしていくしかなさそうです。

ただ、ここまでは1社目が暇である。という余裕のある状況ですのでヒヤヒヤしながらもなんとかこなしていきました。

 

そしてついに1社目の会社から仕事が舞い込んできてしまったのです。

デザイン業務。

しかも納期が早めということでした。

 

最悪です。

 

私はは業務時間内で2社目の案件を行い、定時終わりに1社目の業務を行うことにしました。

 

しかし、2社目の案件の処理スピードが追い付かず、前日10件ほどだったものが20件になってしまいました。

だめだ、仕事が遅すぎる。頭もヘロヘロ。自分の不甲斐なさに失望しました。

 

いくら1社目の仕事を定時後におこなうと言っても、両社でちょっとしたミーティングなどもあり、頭はパニック状態。

 

私の頭の中は千と千尋にでてくる湯ばあばの息子(坊)の部屋のようにパンパンでした。

地上にいるにも関わらず、窒息しそうなのです。

 

一体何から手を付ければいいのか、どこから何を…私は誰。ここはどこ。

人間はなぜ私を生んだ?

 

19時に2社目の仕事を切り上げ、

その後1社目のデザイン業務に取り掛かる。

こんな残業していたら掛け持ちしている意味がありません。

私の望みは勤務時間内9時から18時の間に2つの仕事を掛け持ちし、ダブルインカムを得ることなのです。

しかしどうすることもできません。

とにかく、とにかく2社目に慣れれば、きっとうまくいく。

そう信じました。

 

運命の6日目

 

その週、仕事のことで常に頭がいっぱいで、なかなか寝れませんでした。

それでも1社目の仕事と両立しつつ、残業して2社目の案件もこなしていく…

 

目が痛い。頭が痛い。

帰りたい…かあさん…

 

片手間で業務を行っていることもあり、

1社目のデザインはカスみたいなものが出来上がりました。

しかし、納期よりも早く完成したので締切ギリギリに提出する作戦です。

 

一方、2社目はというとこちらはミスを連発し、

全く関係のないお客様に更新完了のメールを送るなどチョンボの嵐です。

仕方ありません。

 

そして、いつも気が付けば18時。

 

2社目の案件は膨れ上がり、30件にも達していました。

 

「ま、まあなんとなるよな。うん。」

 

そう自分に言い聞かせる日々。

積もっていく仕事。

 

今日はもう休もう。うん。

 

 

その瞬間、突然電話がかかってきました。

 

 

「いったい誰が?こんな時間に?」

 

 

 

1社目の上司でした。

 

 

 

私は震えあがりました。

え、なんで?バレたか!?

そ、そんなわけない。絶対に…

 

 

 

「もしもし? 今大丈夫?」

 

「あ、はい」

 

「あのさ、ちょっと聞きたいことあるんだけど。」

 

 

嫌な会話の入りです。

 

 

「なんでしょうか?…」

 

 

眠気を紛らわすために大量のカフェインを摂取していましたので、

もはやこの胸の鼓動はどちらの影響かもわかりません。

 

 

 

「なんか、連絡というかレスポンスが遅いってディレクターの〇〇さんが言っててさ。忙しい?大丈夫?」

 

「申し訳ございません。ちょっとアレがアレでして。」

 

 

 

だめだ。本当は全然いそがしくないのに。

 

うっかりしていました。

 

そういえば今日、1社目のチャットを一切見ていませんでした。

電話をしつつ、通知をみると10件もきています。

一番古いもので午前10時でした。

 

 

こんなにも返さないのはさすがにおかしい。

 

 

皆様、やさしい上司なのでなめていました。

どうやらディレクターが私に対しての不満を彼に吐露したらしいのです。

 

こんないい人を騙すのはよくない。

そう思いました。

 

 

いや、もうバレてるかもしれない。

 

 

とにかく、これ以上は危険です。

 

 

 

 

そして私は飛び立つことを決めたのです。

2社目で使用しているツールを全てログアウトし、アンインストールしました。

 

 

 

もう、頑張らなくていいんだ。

涙が私のほほをつたりました。

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