エッセイ

転職活動中に気づいた重要なこと。

この3か月間。僕はずっと転職活動をしていた。

転職活動の目的は年収アップ。一択。男一本!!

僕は転職活動をなめていた。仕事を続けながら履歴書などの書類の準備をし、面接の日程も組むのは至難の業だ。

こんなにもエネルギーを使うとは思わなかった。

様々な種類の知らんおっさんと喋るのがこんなにもしんどいなんて。

キャバ嬢の気持ちが少しわかった気がする。以前まではおっさんと喋るだけで金もらえるなんて最高やんけと思っていたのだが…

それとはちょっと違う気もするが。

 

転職活動1か月目。多いときは週に面接が5件なんて日もあった。

週に7日しかないからにしてその中で5回も面接を受けるのは重労働だ。

だがそれよりも問題があった。

それは志願理由が前後してしまうことである。

不動産の会社の面接で人材紹介会社の志望理由を述べてしまうこともあった。

やらかしたと思い、面接中必死で軌道修正を試みるも失敗に終わってしまった。

相手にも伝わったのだろうか、その週の面接は全滅であった。

転職活動は難しい…

わしはこの現象を「網穴(あみあな)でかけずんば、魚(うお)一尾(いちび)も捕れれぬ。」と名付けた。

 

 

転職活動2か月目。

先月の反省を生かし、面接予定を散りばめることにした。これにより面接に通過することが増えた。

はやり人間はなにか複数のことを同時に行うことに向いてないのか。それとも僕の能力なのか。

実に不思議だ。それとは別に面接になれたことも成功の要因かもしれない。1か月目に比べてあまり緊張しなくなった。

わしはこれを「なれっこ転職市場にはびこる。」と名付けた。

むぐぐ…わしの研究は続く。

 

 

転職活動3か月目。

ここにくるとかなりの確率で面接の1次審査を突破するようになる。

人間の慣れというものは実に恐ろしい。

しかし逆にどこで働くか迷ってしまった。

年収はどこも大差ない。職種問わない。未経験者受け入れ企業大歓迎。

とりあえずどこの会社も今の仕事よりは倍近く年収があがる。

今までなんて安く買いたたかれていたのかと憤慨する。

少し気がかりなのはそのうち1つも在宅勤務の会社がないこと。

もっと探せばもっといいところありそうだと思い欲がでてしまう。

そして見つけた。「AVプロデューサーの仕事である。」

年収はかなりよく、在宅もできるらしい。しかもおっぱいも見放題。

僕が以前におっぱいパブに応募したときの動機と全く同じだった。

「君に決めた!」

ポケモンのさとしを彷彿とさせるくらいのテンションで声高らかに叫んだ。

本当にほしいポケモン(仕事)が見つかると、「君に決めた!」というセリフが自然と口からあふるることに感動した。

面接地は六本木。初ギロッポンだった。

 

面接当日。僕は寝坊した。午後からだったので油断していた。

しかしこのまま引き下がるわけにはいかない。

面接まであと1時間ほど。ナビタイムで何度検索しても15分遅刻してしまう。

すぐ連絡するべきだろうか。いやまだ早い。遅刻は印象が悪すぎる。

そこで一旦、電車の遅延にかけてみようと思った。

とりあえず駅までいこう。

そしてきた。好機。

神降りた。

「人身事故による20分の遅延。」

人身事故なので死神だろうか…

これで口実ができた。

本来間に合うはずだった電車がちょうど遅延している。

速攻で遅刻する旨を連絡。

難を逃れた。

 

面接の感触は上々だった。

ピカチュウ(AVプロデューサー職)はゲットできそうなので、次にゼニガメ(不動産業)をゲットしにいこうと思った。

不動産も収入がいいので捨てがたい。

一番の動機は映画トレインスポッティングのレントンが不動産の仲介業をしていたから。

 

そして面接当日。また寝坊してしまった。

今回は死神(人身事故)も舞い降りず…

駅のホームにあるトイレで1人つぶやく。

「リューク…お前にはがっかりだよ。」

 

その帰り。あることに気づいた。

今月面接数は10件。僕はそのうち5件に遅刻していた事実に…

なんて恐ろしいことだろう…

「ぼ、ぼくはこんなにも遅刻してしまう人間だったのか…」

緊張感のある面接というものに遅刻してしまうのだから、就業して慣れてくればかなりの確率で遅刻するだろう。

思えば、完全在宅勤務の今の仕事でも、月に2回は上司のモーニングコールで起床していた。

そうか、それなら通いなんて絶対むりだ。

この世に遅刻してもいい仕事なんてない。

終わった。今の職場に感謝しよう…

自分がそういう人間だった。というこのに改めて気づかされた転職活動であった。

わしはこの現象を「遅刻せよ、すれば己(おのれ)の神髄(しんずい)確(かく)に値する。」と名付けた。

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