エッセイ

「もう電話やめません?」なんでも電話してくる上司

電話をするおじさん

 

「電話やめませんか?」

こんなこと言うと、「ホリエモンに憧れてんの?」とか「意識高い系やな」とか言われがちだ。

なにも、全てをメールやらLINEやらでして欲しいとは言ってない。

基本的にテキストでやりとりしたほうが早いし、正確だといっているのだ。

 

パソコンを使う仕事なら尚更である。

 

 

以前いた職場に電話が好きな上司がいた。

名前は松田。50手前くらいでメガネをかけ、ふっくらしており、いかにも中年体型のやつである。

彼は仕事の連絡を全て電話でする。

 

どんな些細なことでも。

 

 

松田の電話での流れを説明しよう。

 

1、まずラインで画像だけが送られてくる。

2、そしてその説明のための電話がくる。

 

松田「今ラインに送った画像をみてほしいんだけど、、見えてる?」

僕 「あ、はい、みえてます。」

松田「ここのホームページにこれを足してほしいんだよねえ。」

僕 「わかりました。」

 

 

〜10分後〜

 

 

 

松田「もしもし〜?あのさ、今ラインに送ったのを追加でホームページに差し込んで欲しいんだよね。みえてる?」

僕「あ、はい、みえてます。了解しました。」

 

 

 

 

こんなやりとりが1日何10回もある。

たまらない。

 

 

 

常にこっちがパソコンの前にいればいいが、

トイレの時や休憩時間の時は

いちいちパソコンの前までいかなければいけない。

そして電話しながらラインをみるのはすごく手間だ。

まず電話をスピーカーにして、ラインをひらいて、、、

言われたことをメモするやらして、、、

この際、ミスが起こった場合、どちらが間違っていたのかなんてわからない。

言っただ、言わないだがあちこちで起こっている。

そもそも電話を使用していなければ起こらなかったミスがどれだけあることか。

 

 

ある日のこと

松田が誰かと仕事の電話をしていた。

 

するとオフィスに着信音が鳴った。

 

 

 

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

 

 

 

誰も出ない。

 

 

 

オフィスには15人ほどいたので、そのうちの誰かだろうと思った

 

 

(うるせえな、早く出ろよ。)

 

 

すると1分もたたないうちにまた別の着信音が

 

 

 

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

 

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

「ティンティ路ティンティン♪」「ティンティ路ティンティン♪」

 

 

 

 

まだ誰も出ない。

 

 

 

 

 

ふと、着信音のするほうに目をやると驚いた。

 

 

 

全てその松田のスマートフォンだったのだ。

あいつ3台ももってやがった。

 

 

そして電話中の松田はなにを思ったのか、

左耳に2台

右耳に1台

という形で

全ての電話に出た。

 

松田「すみません!電話きてるので切ります!!」

松田「すみません!いま電話がすごくて!あとでかけ直します!」

松田「お電話ありがとうございます!松田です!あちがうわ、山本どうした?」

 

もうコントだ。

それでもなお、なぜ頑なに電話をしたがるのか。

 

最初の頃、なんでもかんでも電話する松田に

ラインすれば一発やん。と思った僕は、

「すみませんが、ラインでお願いできないですか?」と松田に言ってみた。

しかし聞かない、

おまけに不機嫌になる始末。

これでも相当うざかったが、おじさんだったのでもういいやと思い、あきらめた。

 

 

こいつだけじゃない。

職場で唯一の20代のエンジニアでさえ、

電話大好き君だ。

 

 

彼はいつも仕事中、

自分以外の人間、会社に対して、

どうでもいいことに対して、変なこだわりが多く、

「無駄なことが多すぎる」とか「もっと効率化しましょうよ」

なんてよく言っている。

 

 

そんな彼の大好きな「効率化」というものに重点をおくと、

電話というのはめちゃくちゃ「非効率的」なのに、

なぜそこに疑問を抱かないのか不思議でしょうがない。

むしろ一番「効率化しましょうよ〜」っていうところじゃないのか。

 

 

なぜ彼らがこんなにも電話をしたがるのか考えてみた。

 

 

 

要は「仕事をしてる感」が欲しいだけなんじゃないだろうか。

 

よく町で電話している、

色黒で白シャツにぴちぴちのパンツをはいたやつと同じなんだ。きっと。

 

僕の役目は、

彼らのスマートフォンから電話回線につかわれてそうなマイクロチップをすべて破壊すること。

平和を死守せねばならぬのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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