エッセイ

正月

1月1日。いつもなら実家に帰省しているが今年は気が乗らず、

いや、結婚式や祖父の葬式やらで3回も帰省していたので正月はもういいかと思い帰らなかった。

姉の婚約者も来るし、姉、妹と兄妹はみんな帰るというのを聞いていたので、両親も寂しいという感じもなさそうだと思ったのもある。

家族のラインにおせちとみんなの写真、例年と違うのは姉の婚約者も一緒だということくらい。

最近は親戚が減っても、増えるという経験が少なくなったので少しにぎやかになって嬉しい。

年老いた愛犬もまだ粘っている。

母が愛犬のラッキーはもう長くないと言ってから3年がたつ。

 

20時ごろ母から電話があり、折り返すと妹が電話を取った。

家族とテレビ電話で少し喋る。

 

10分後くらいだろうか。

姉からラインが来た。

「お父さんとことちゃんが大喧嘩してことちゃん出て行った。」

電話口ではさっきまで家族団らんだったので少し信じがたかったが、

姉がそんな冗談を言うわけもなく、事態は少し深刻そうだった。

しかも父は妹の髪を掴んでいたらしい。どんなことがあったらそこまでの喧嘩になるのか疑問でしかなかった。

原因は妹が結婚について生意気な口を聞いたらしく、それに父が切れたらしい。

めちゃくちゃしょうもない理由だ。しかし彼らにとっては譲れないものがあったのだろう。

彼らはよくケンカをする。思考が似通っているからんぶつかるのかもしれない。

そして家族の中で一番顔も似ている。きっと生物として近いのだ。

いっしょの現場にいた姉の旦那さんはさぞかし気まずかったに違いない。

 

そして家を飛び出す妹。

実家の周りにはなにもない。コンビニでさえ歩いて30分はかかる。一体どこにいったのか。

母から連絡が取れないから電話してくれときたが、僕が連絡したところで出るはずもなく、次の日に連絡がきた。

どうやら妹は2月に入籍するらしく、婚約者と実家にあいさつに来るらしい。

付き合って1年記念日に入籍をする。それは良かったのだが、母が2月から抗がん剤治療をするということもあり、タイミングをもう少し読んでほしかったのかもしれない。

そのことで父は思うことがあったらしく妹と喧嘩になったのだ。

 

僕の父親は酒癖が悪い。昔からだ。

毎日飲んでいるし、姉の旦那も来ていたので人見知りの父は飲んでいた量に拍車がかかったに違いない。

さっき妹と父はよくケンカをするといったが、実際に現場に鉢合わせたことはない。

父は姉にも手を出したことがあるらしいが、僕がいた時にそのような光景を見たことがない。

小さいころから家族で一緒に住んでいて僕だけ鉢合わせてないのもおかしいが、今までやんちゃをしてしばかれたことはあるが口論でしばかれたことはない。

なぜなら僕は父に対してずっと気を使っているからだ。

いや父に対してだけではない。誰かが怒っているのをみるのが嫌なのだ。

殴られるのも嫌だし、ぶつかるのも嫌だ。

それ以降必ず気まずくなる。

真剣に喧嘩をできる兄妹。しかも女兄妹に僕はどこかで憧れを抱いている。

今の時代にそぐわない言い方かもしれないが、姉と妹は僕より男っぽいと思う。

言いたいことはいうし、その発言をして誰かがどんな反応をするかなんて気にしていない。

自分に自信があるのだ。正直羨ましいと思う。

 

そしてこんな取っ組み合いの喧嘩をしたのにも関わらず、2日後に妹の婚約者が親に顔を見せに来るらしい。

非常に見者だ。さすがにそこで取っ組み合いになることはないだろう。

妹の婚約者は体がかなり出かかったので小さな親父がそこで妹の胸倉を掴みかかろうものなら制止するに違いない。

いい人そうでよかった。チャンチャンで終わってほしいが、また問題が起こると最悪、縁を切るとか言い出しそうな妹。

お兄ちゃん。応援してるで。

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