エッセイ

大腸がんになった僕への手紙

最近ずっと下痢だ。

しかも血便の時もある。

血便(うんこ拭いたティッシュに血がついちゃう)はたまにあるので気にしてなかったが、

2週間ほど続く下痢と血便に危機感を感じ僕は、仕事もせずインターネットで「下痢」、そして「血便」について調べていた。

色々な病気の可能性が記載されていたが、その中でも特に怖いのは「大腸がん」。

がんですよ?皆さん。

うんこがちょっと変なだけでがんかもしれないんですよ?

めちゃくちゃ怖くないでしょうか。

 

その「大腸がん」の可能性が自分には10%程はある。

全摘出となればうんこが常に駄々洩れだ。

僕の肛門は人口のビニール袋みたいなやつに繋がれる。

排泄物はビニール袋に入れられるので、いくらその袋に色がついていても、若干透けているかもしれない。

そうなれば、僕のうんこは永遠に羞恥に晒されるだろう。

看護師の方に自分のうんこを見られることに興奮を覚える人間もいるかもしれないが、僕はそうじゃない。

性癖が功を奏すこともあるのだ。

 

なんと悲しいことだ。好きなものも食べれない。

辛い。

僕はまだ病院にはいってないが、大腸がんになった時の為にここに遺書ならぬ遺大腸書を書する。

 

遺大腸書

 

この度はこんなことになってしまって自分でも信じられません。

タバコと酒はたしなみますが、わりかし健康には結構気を使っていると思っていたからです。

最初に身体に異常を感じたのは「柔い便」からでした。

いつもは全く気にしていなかったものの、1週間、2週間と日が続くにつれ、自分でもかなり違和感があったのです。

そこから柔い便は収まることはなく、回数も増え、ティッシュに血が付くことも増えました。

この苦しみがあなたにわかりますか?

この怖さがあなたにわかりますか?

ガキの頃は「うんこ」というとそれだけで笑っていましたね。

ギャグマンガにもうんこは乱用され、当時僕たちの指南書であったコロコロコミックにも多用されていたように思います。

うんこで笑っていた自分。重要性をわかっていなかった自分を叱ってやりたい。

そして、うんこを軽視するこの日本の社会情勢には嫌気がさします。

 

さて、僕は全ての大腸を摘出することになりましたが意外と不便なく過ごせています。

人間の身体ってすげぇ。です。

何かが足りなくても生きていける。

でもよく考えればトカゲはしっぽを切っても生きていますし、体自体を切断してもピンピンしている生き物もいます。

人間がすごいのではないのです。

この宇宙。生命のフロンティアであるこの地球がすごいのです。

 

さきほど何も不自由なく過ごせている。と言いましたが、唯一不便することがあります。

それは排便をコントロールできないことです。

いつでるかわかりません。

今までは大腸でストックできていたうんこですが、大腸という倉庫が無くなってしまった現在、

好き勝手に外に出てしまうのです。

それでは生活ができませんし、看護師さんに僕のうんこを直接処理させることになってしまいます。

そこで肛門とチューブを繋ぎ、人口のビニール袋のようなものにうんこを溜めることになりました。

今まではあんなに簡単に排泄行為を行なえたのに、今では赤子同然です。

ビニール袋は中身が見えないように少し黄色味がかっていますが、素材の性質でしょうかやはり中のうんこは少し透けてしまいます。

それを看護師さんがどこかへ持って行ってくれるのですが、僕のうんこは一体どこへいっているのでしょうか?

以前と同じくトイレに流しているのでしょうか?

トイレで流すとしても、もちろんビニールのままでは流せません。

そうなれば、袋からうんこを出すという作業が発生します。

看護師さんに申し訳ないですし、これは非常に効率が悪い。

 

勝手なお願いで恐縮なのですが、

どうせうんこを処理するのにひと手間加えるのでしたら、どうか農家さんの肥料に使ってもらえないでしょうか?

いえ、そんな僕のうんこが栄養満点で優秀だから使わせてやる。なんて強情なことは言いません。

牛や豚のうんこよりコストもかかりませんし、なんなら農家さんのご希望に沿って食事も調整することができます。

以前、ゆずの香りがするブリというのを目にしたことがあります。

ブリを養殖する際に、ゆずを与えることでブリの身にほのかにゆずの香りが生じ、美味しくなるのです。

このような形で僕に何か貢献できないでしょうか?

 

あくまで僕は農家の素人です。素人が何言ってんだ、と思わるでしょう。

でも全てのアイデアは試してみないとわかりません。

 

トマトジュースを飲んだ後のうんこを肥料にトマトを栽培すれば濃厚なリコピンのトマトができるやもしれません。

OS1を大量摂取し、それをブロッコリー畑にまけば、究極の免疫ブロッコリーができるやもしれません。

うなぎを食べた後のうんこをサバのいけすに放り込めば、うなぎ味のサバになるやもしれません。

 

試してほしいのです。僕の可能性を。

有効活用してほしいのです。

少しでも世の中に貢献し、自分の存在価値を見出したい。

 

エゴでしょうか?

傲慢でしょうか?

 

長くなりましたがこの辺で終わらせていただきます。

 

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