エッセイ

気が利きすぎるコンビニ店員

近所のコンビニに気の利きすぎるコンビニ店員がいる。

みなさんもご存じのようにコンビニに置かれているタバコにはそれぞれ番号が振られており、

購入する際はタバコの銘柄か、タバコに振られている番号でコンビニ店員に伝える。

タバコの銘柄を言ってもわからない人も多いので必ず番号で伝える。

昔、コンビニでアルバイトしていた時、いつも銘柄で注文するおっさんがいた。

だいたいの店員は銘柄を伝えられてもわかるのだが、

入れ替わりの激しいコンビニアルバイトということ、もうこんな時代に喫煙する人間も少なくなってきていることから

わからない人間もおおい。番号で伝えればその店員が銘柄を知っているかどうかなんて関係なしにスムーズにタバコが手に入る。

そんなこと当然わかっているはずだ。

「エコー3つ!!」

「すみません…番号でお願いしてもいいでしょうか?」

「エコーやんか。そんなんもしらんのか。」

「はい…どれでしょう?」

「番号でいうたことないからわからん!!!」

そして近くにいる店員がすっとエコーを手に取ってことがおわる。

そんなしょうもないやりとりをわざわざするのである。

こういう奴はなにかいいたいくてコンビニにきているのか、かまってちゃんなのかどちらかだろう。

そんなこともあって

「214番のタバコをください。」と必ず番号で伝える。

たまに永遠に数字をみつけられないんじゃないかというくらい時間がかかる店員もいる。

そんな人には

「そこです。その緑のやつ。」という補足をする。

最近では年齢確認のボタンにも違和感をかんじなくなり、それに加えて支払のボタンも増えた。

全部自動でできればいいが、ボタンをおして現金を入れている最中も目の前では、立ち尽くす店員がじっと目の前にいる。

支払が終わるまで待っている。なんだこの時間は。プレッシャーがすごい。

あの間がすごく苦痛である。数秒もない、あの間。あんなに長く感じる数秒はない。

ちょっとでも1000円札を入れるのをしくじったらこちらがめちゃくちゃ待たせているみたいな雰囲気。

店員も無言になるしかない。だってその間、ぼーっとたっているしかやることがないのだから。

あの半セルフレジみたいなものはむしろ非効率ではないだろうか。誰も得しない。

話が少し脱線した。

こないだいつも通り近所のコンビニでたばこを買おうとレジに向かった。

そこには大学生くらいの男の子が立っていた。

そして僕がたばこの番号を言おうとちらっと番号を確認するその瞬間

すっと彼がタバコを持っている。

間違いなく僕がいつも買っているタバコだ。

「こちらでよろしいですか?」といった言葉もない。

無言でである。

「こくり。」僕はうなずいた。

一瞬なにがおこったのかわからなくなり、固まってしまった。

「あ、ありがとうございます。」

それでも彼はなにもいわない。

バーコードを無言で読み込こんだ。マスク越しにでも彼の自信が伝わってきた。

このタバコに間違いはない。この人はこれを吸っている。

恥じらいの中に入り混じる確固たる自信。

おそらく彼は恋愛でも奥手に違いない。ずっと寄り添って行動で愛を示すタイプだろう。

 

平成生まれの僕だが、彼に昭和の匂いを感じた。背中で語る男だ。

それからずっと僕はレジに行って声を発しなくても自動でたばこがでてくるようになった。

たまにホットスナックが食べたくなっても頼みにくくなった。

彼の一連の動作を邪魔するのではないか。という不安が募った。

僕は彼が大好きだ。

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