彼女にマッチングアプリをしているのがバレてから
ずっとどうにかよりを戻してくれないかと試行錯誤していた。
どれだけ女々しく思われてもいい
「もう一回やり直しませんか?」こんなメッセージを送る。
「どう改善するんです?」その彼女の一言に僕はなにも言い出せなかった。
安心しきっていた。少々のことがあっても別れることなんてないと高をくくっていたのである。
2人は複数の太いパイプでつながっておりなにか現象がおこっても、複数あるパイプは少し痛むか、パイプが何本か折れてしまってもまだつながっている。
それは幻想であった。
よくみると実際には細い糸でギリギリつながっていただけであった。
目が覚めた。
そしてその細い糸はもうはたから見れば見えないくらいに細くなり、なんとか紡がなければ、僕たちの関係は以前の他人という関係性に陥ってしまう。
もう解決法がない。
相手はもう冷めているのに、こちらから一方的にやり直そうというのは完全なエゴだろう。
しかしだ。そんなずっとクリーンな関係で続いているカップルは世の中にどれほど存在しているのか。
今のとこ全くバレていないか、バレたがなんとか懇願して許しを請い復縁に至るか。どちらかじゃないのか。
そう考えれば、浮気がバレてしまってそれが発端で振られてしまった僕は、浮気程度で切られる存在だったのだろうか。
それか浮気をするということが1発アウトになってしまうほど許せないことだったのか。
真実は川の中。
1回浮気をした人間はずっと繰り返す。浮気は病気だ!確かにそうなのかもしれない。
犯罪者の再犯率はすこぶる高いという話を聞いたことがある。
前科が付いた人間に対して社会の風当たりがつよいのも単純な偏見ではなく、理にかなっているのかもしれない。
それならば違う人間とお互いに浮気を認可できる関係性を構築するのか。そもそもそんなことなら付き合う必要などないだろう。
復縁して不安が残ったまま付き合っていくのは苦しいだろう。
以前まではなかった絶対的な不信感が常に付きまとう。あくまで応急処置。
どっちにしろうまくいかないかもしれない。でも復縁したい。
そこで考えた。今でもメッセージはちょこちょこ返してくれる。
やり取りの中でどうしようもない質問、例えば「どうやってこれから浮気をしないと証明するの?」というアインシュタインでも解けないこの数式を因数分解する方法。
そもそも質問に答えなければいいのではないか。
話をそらす戦法で戦っていくしかない。
昔、金に汚い友達が、金を返せと言われるたびに話をすり替えていた。
正攻法ではない。よくないやり方だ。しかしそんなこともいってられない。
少しづつ、、少しづつ糸をつむぐのだ。
蚕のように…しとしとと…